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事業概要:特徴

はじめに  
 かわさきファズ株式会社は、輸入と対日投資を促進するFAZ法(平成18年廃止)のもと港湾振興に寄与するものとして、民間事業者のノウハウや資金力を活用できる第三セクター手法により平成7年3月に設立され、平成10年4月にかわさきファズ物流センターの開業に至った。
 当社は、川崎港の商業港への機能強化、卸売業など物流関連産業の集積(高度な物流機能集積)、市内における国際取引の拡大、雇用の創出と川崎港の活性化の中核施設として、従来からの保管型倉庫ではなく保管・加工・輸送・展示等を含む一貫完結型物流を担う総合物流センターをめざし事業展開してきた。
 開業以降、売上げは毎年度堅調に推移しつつも、資本費負担が重く経常損失を重ね厳しい事業経営を強いられたが、顧客誘致などの企業努力等により平成15年度以降は黒字に転じている。
 一方、当社は、初期投資の大部分を借入金に依存したため返済負担は非常に重く過去2度にわたって、川崎市・金融機関の協力のもと返済計画の見直しを行い経営の安定化を図ってきた。
 この間、リーマンショック、東日本大震災、大型顧客の撤退などの厳しい局面に遭ったものの、社内一丸となっての努力と関係各位の御協力により危機を乗り越え着実に約定弁済を行うことのできる状態となった。
 また、物流センターは開業18年目を迎え、施設・設備の維持・更新が主要課題の一つになっている。
 このような経緯と現状を踏まえ、今般、この経営計画を安定経営のための指針として策定し、今後の事業展開を図ることとした。
   
T 経営の基本方針  
 汎用性の高い物流施設を安定的に供給し、東扇島地区の中核企業として港湾物流機能の高度化に寄与するとともに、市民の豊かな消費生活に貢献し、安定した企業経営を図ることを経営の基本とする。

   
U 会社の現況  
   当社が東扇島の地に開業した当時は、東地区では(財)日本食肉流通センターや川崎市港湾振興会館(愛称:川崎マリエン)をはじめ、物流企業の上屋・倉庫群などの物流施設が稼動していたが、当社が立地する西地区は、商業港に向け川崎港コンテナターミナルの利用を促進し、その背後地は輸出入貨物を集荷する地域として位置づけられていた。
 その後、西地区では当社に続いて東扇島総合物流拠点の第1期(地区)・第2期(地区)と整備が進み、多くの企業の物流センターが順次稼動し、現在、東扇島は保管能力90万トンを超える冷凍冷蔵倉庫群の一大拠点となっている。
 当社は開業以来、雇用の創出だけではなく、物流機能の高度化を図るべき総合物流拠点地区のリーディングカンパニーとして、環境整備などで重要な役割を担いつつ地域の活性化に寄与してきた。
   
1 事業内容  
主な事業内容は、次のとおりである。
・不動産及び附帯施設の賃貸及び管理
・保税及び通関施設の管理及び関連情報サービス
・電気・ガス・水道等の供給、廃棄物・排水等の終末処理に関する事業
・輸入貨物の保管・荷捌き場、輸入品の展示及び販売施設その他の輸入促進等に関連する各種施設の建築、運営についての調査、企画、立案

 当社は不動産賃貸業を主とした企業であり、食品系を中心とした流通業者・物流業者等に物流加工拠点・配送拠点として物流センターを賃貸することが中核事業になっている。
 また、汎用性の高い物流施設として各種流通加工に対応可能なユーティリティや駐車場等を供給する補完事業を行っている。
   
2 株 主  
平成26年度末における株主は、川崎市、神奈川県、鞄本政策投資銀行をはじめ49名からなっている。
   
3 施設内容  
・敷地は100%川崎市からの借地(116,297㎡)となっている。
 1街区(A棟) ・・・69,866㎡
 2街区(B棟) ・・・29,121㎡
(C棟) ・・・17,310㎡
・建物構造は鉄筋コンクリート造り4階建(一部鉄骨造り)
・建物はA・B・C棟の流通加工場・倉庫、管理棟等からなる汎用性の高い物流センターで床面積は次のとおりである。

(平成26年4月)
建物 延べ床面積(㎡) 内賃貸面積(㎡)
A棟(流通加工場など汎用性の高い物流倉庫) 167,565 121,949
B棟(主としてドライ貨物向け倉庫) 33,431 30,690
C棟(専用棟として造られた冷凍冷蔵庫) 21,762 21,519
管理棟 7,476 3,002
特高棟 602
水処理施設棟 330
231,167 177,160

   
4 入居状況  
 当物流センターの入居状況は、平成10年の開業直後の2〜3年、さらには平成23〜24年の大型テナント等の転出により一時的に厳しい状況にあったものの、総じて堅調に推移してきている。
 平成20年1月のC棟の稼動以降における入居率は次のとおりである。


(%)
H20.4 H21.4 H22.4 H23.4 H24.4 H25.4 H26.4
A棟(35区画) 97.9 90.0 96.6 100.0 92.1 97.4 96.6
B棟( 3区画) 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 97.7 100.0
C棟( 1区画) 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0
98.6 93.1 97.7 100.0 94.6 97.8 97.9
(B棟は平成24年6月末まで専用棟) 
   
5 組織運営  
① 組織・人数
 当社の組織体制は、会社設立時や開業時の20名を超える体制から事業に見合った見直しを進め、平成27年3月31日現在、2名の非常勤を含め、15名の役員・社員からなっている。
 役員・社員の多くは、金融、物流業など前職で長年培ってきた知識・経験を生かすことのできるベテランで構成された組織となっている。なお、開業以降、業務の見直しや組織・人員のスリム化等を推し進め、人件費等を圧縮し、効率的な事業経営に取り組んできた。


② 雇 用
 当社は平成7年の会社設立時から、出資団体からの人材の供給を受け、経験豊富で即戦力のある社員を採用している。雇用関係の構築に際しては労働契約法等の労働関係法令に適切に対応しながらを進めている。
<法令職・外部委託>
 当物流センターは、豊富な電気容量・蒸気・給排水(上水・工業用水)・汚水 処理及びLPガス供給などのインフラ施設を完備しており、食品加工場、さらには 冷凍・冷蔵倉庫等として使用できる高機能倉庫となっており、施設・設備の維持 管理には多くの専門職が必要不可欠となっている。しかしながら、当社において 多くの専門職を抱え施設を管理することは、経営的にも非効率であることから、 開業当初から施設管理部の管理のもとに外部への委託を前提に物流施設を管理 してきた。
 また、新たに信頼できる外部委託先と技術協力を得る関係を構築し、適切に施設・設備の維持管理が行える体制を整えている。
   
6 財務状況  
 平成10年の物流センター開業以降、売上高は毎年度堅調に推移してきたが、平成20年9月のリーマンショックの影響もあり、平成20年度をピークに売上高は落ち込み、厳しい状況が数年続いた。しかしながら、退去区画のテナント入れ替えや水道光熱費の価格にスライドしたユーティリティ料金の見直し等により売上高は回復基調となり、平成25年度は過去2番目となる39億4千万円を超えるまでとなった。
 経常損益については、売上高に比して“減価償却費”“支払利息”の負担が大きく開業以降損失を続け、平成14年度末には38億円超の繰越損失を計上した。
 その後、自助努力による収入増加はもとより、“借入金の借換え”などの川崎市や金融機関からの支援・協力もあり、平成15年度以降経常損益は黒字を続け繰越損失も26億円まで圧縮し解消までの道筋が見えてきた。
 なお、平成24年度の“借入金の再借換え”は、返済期間の延長により経営の安定化に向けた大きな一歩となった。
 今後、当物流センターは施設設備の大規模な補修を控えており、多くの資金を要することになるが、着実に約定弁済を進めるとともに繰越損失の早期解消に努めていく。


リーマンショック以降の財産及び収支状況                (単位 百万円)
区   分 H20年度 H21年度 H22年度 H23年度 H24年度 H25年度
売上高 4,079 3,607 3,658 3,828 3,602 3,944
営業利益 806 687 632 736 581 719
経常利益 140 94 69 197 77 237
当期純利益 139 92 11 40 56 144
総資産 50,362 48,789 47,382 46,043 44,957 43,957
純資産 2,275 2,367 2,433 2,472 2,576 2,719
繰越利益剰余金 △3,052 △2,960 △2,894 △2,855 △2,751 △2,608
期末借入金残高 27,363 25,866 24,369 22,987 22,076 20,838
   
7 第三セクターとしての役割  
 港湾振興に寄与する第三セクターとして設立された当社は、これまで、当物流センターとして2,000名を超える雇用の創出、さらには地域をリードする企業として「東扇島総合物流拠点地区協議会」(以下「地区協議会」)を港湾局と共に主導し、通勤交通対策、道路交通環境整備など地区の事業環境の改善に実績を上げてきた。
 当社が立地する東扇島は、背後に首都圏4,000万人の巨大な消費地を控えた冷凍・冷蔵倉庫の一大集積地となっており、また国際化が進む羽田空港に近く、首都高速湾岸線やアクアラインなど首都圏の広域交通網の結節点に位置し、さらには、平成30年度に水江町との連絡橋が竣工される予定でもあり、物流拠点としてのポテンシャルは非常に高いものがある。
 また、隣接する川崎港コンテナターミナルは、国際コンテナ戦略港湾「京浜港」の中で、背後に広がる冷凍冷蔵倉庫の集積を活かし、今後増大するアジアの輸入貨物の取扱拠点機能を担うとしており、当社も、コンテナターミナルの直背後に立地する特性を活かし、さらに港湾物流の高度化に寄与していく。
   
V 経営計画  
 経営計画は今後の安定した持続的事業経営に向けて、借入金完済予定の平成42年度までの16ヵ年(平成27年度〜42年度)とする。
 今後において目指すところは、経営の基本方針のとおり「港湾物流機能の高度化を進める東扇島の中核企業としての貢献」であり、安定した企業経営を図ることである。


 計画策定にあたり意識すべきもの(ステークホルダー)として次のように考える。

  ・顧客:利便性の高い、安全・安心な信頼のできる物流施設を提供する。
  ・地域:地域との協働を通じ地区の価値向上を図る。
  ・株主:持続的な利益を創出し、株主還元を目指して企業価値の向上を図る。
  ・社員:生き生きと働ける環境を構築する。


 また、計画を策定するにあたり、次の4点を克服すべき大前提として位置づける。

  ・約定通りの借入金の完済
  ・繰越損失の早期解消
  ・施設・設備の機能維持
  ・余裕ある自己資金の確保
   
1 財務計画  
 当社における売上げの柱は、中核事業としてのテナント賃料とユーティリティ利用料等の補完事業からなっている。  とりわけA・B・C棟からなるテナント賃料は売上げの大きな柱となっている。その核となるA棟は、汎用性の高い充実した設備の物流施設であるだけに、当初の設備投資の負担が大きく、負担軽減に向けたテナント賃料の見直しを今後においても積極的に行っていく。
 また、補完事業であるユーティリティ使用料、駐車場等についても、着実に売上げを上げており事業を継続していく。

① 中核事業
 ・高い入居率を今後も維持する。
 ・A棟についてはドライ倉庫との差別化を図り、特徴を活かした物流加工型のテナントの誘致を進め賃料収入の増加を図る。
 ・B棟についてはテナントの要望を踏まえて所要の投資・整備を行い、中核テナント等による一棟マスターリースも視野に入れ売上の向上を図る。

② 補完事業
 ユーティリティの供給については、需要動向を見極め、設備の適切な見直しを行い、安定供給を確保するとともに、電気、ガス等の価格変動に柔軟に対応する取り組みを今後においても進め、収益を確保する。
 また、用地確保に課題が残る駐車場等についても、未利用地の効率的な活用を図り、地域の需要に応えられるよう対応を進め、収益の確保に努める。

③ 長期計画
 借入金の完済(平成42年度)、繰越損失の早期解消など克服すべき4点の大前提を踏まえ、中核事業、補完事業等による売上高の目標を過去ピーク並の39〜40億円とする。今後着実に利益計上を積み重ね、出きるだけ早期に繰越損失を解消し、余裕ある自己資金の確保を進め経営の安定化を図る。
   
2 施設管理  
 当物流センターが竣工17年(C棟は竣工7年)を経過することから、施設の経年劣化等の当社の実情を踏まえた長期的な施設保全計画を平成26年度中に取りまとめ、今後の施設保全の道標とする。
 また、現在行っている空調設備の更新、共用部分のLED化、ユーティリティ供給設備の緊急度の高い補修を順次進め、物流センターに求められる機能維持を継続していく。
   
3 組織運営  
 当社はA・B・C棟等からなる24時間稼働の物流センターを所有し管理運営する不動産賃貸業である。それだけに多くの営業・技術・業務など多様なスタッフを必要とするが、株主から経験豊富な人材を即戦力としての採用をはじめ、施設・設備管理の外部委託、さらには外部法人からの技術協力を得ることにより、組織・人員体制は総務、営業、施設管理の3部からなる15名程度の効率的な組織・人員体制をとっている。  今後においても、現体制をもとに退職動向や年齢構成を踏まえつつ状況に応じて柔軟に社員を採用するなどして的確に業務に対応できる体制を執るとともに、適切に規定の整備を行い、安定した雇用制度の確立を図っていく。
   
4 地域と協働した環境整備  
 第三セクターである当社は、今後も地域の発展に適切に関わり貢献していく。この東扇島は、背後に巨大な消費地を抱える首都圏の広域交通網の結節点にあり、物流拠点としてのポテンシャルは非常に高い。こうした優位な立地条件を地域の企業と協働してより確実に活かし、企業としての発展、さらには地区の発展に繋げていく。

① 物流センターの環境対策
現在、節電対策として照明のLED化を進めているが、今後効果を見極めつつ環境保護の視点からも順次拡大していく。また、敷地内の照明については、技術進捗等に注視しつつソーラー利用やLED化を進める。

② 交通利便性の向上
 通勤交通対策については港湾局とともに地区協議会を主導し、バス事業者の協力のもと路線バスの新経路や増便を推し進め、通勤利用者の利便性を図ってきた。
 今後においても、港湾地区にある進出企業の24時間稼動に配慮した通勤交通対策を関係企業と協力して進めていく。
 また、地区内の交通渋滞対策についても、川崎港臨港道路東扇島水江町線事業の進捗に合わせ地区協議会を主導し、また、行政や港湾地区の企業・団体と協力して渋滞解消に向けての道路環境の改善に努めていく。

③ 福利厚生面の環境整備
 当物流センター内には、食堂・売店、休憩室、屋上庭園が、近隣には診療所、理容室があり、一定の福利厚生施設は整備されている。  今後、24時間稼動の物流企業としての視点から、顧客や地域のニーズを把握し福利厚生施設の充実を図っていく。

④ 安全対策
 当社は港湾地域としての特性を持ったエリアに位置しており、テナントの安全対策についても地域合同の労働安全パトロールに参加するなど安全対策の強化に努めている。  今後も、物流センター内のテナント連絡会議を活用し港湾労働上の安全対策を視野に入れた安全向上に関わり、当物流センター内の事故防止に繋げていく。

⑤ 防災対策
 当物流センターは24時間稼動の物流施設であり、テナントと一体となった災害対策が不可欠である。  現在、「消防計画」や「防災マニュアル」により、災害時の対応、災害予防、防災訓練等を実施しており、今後においてもテナントと合同の訓練を重ね災害の減災化に努めていく。  また、当物流センターは第三セクターとして「津波避難施設」「広域物資拠点施設」さらには「帰宅困難者一時滞在施設」の指定を受けていることもあり、テナントとの一体的な活動に限らず避難、一時滞在等の災害対策に寄与していく。

   
おわりに  
 当社は川崎市を筆頭に多くの関係者からの出資により設立された第三セクターであり、株式会社としての責務を果たしつつ、その活動が川崎港の発展や市民生活の向上につながることを念願としている。
 本計画もその一環であるが、自らの成果を振り返り、また環境変化に応じて、適宜、計画の見直しを図っていく。
   
 

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